眠れない、眠れない

川の音がする薄暗い木々の間を歩き回る。脚を止める、屈んでクサソテツを採る、一本、二本。背中の籠に入れる。湿った柔らかい苔の上に生い茂るクサソテツが川の縁まで広がっている。

海の中に飛び込む、濁って渦巻く泡。互いに叫びあって反対側の堤防まで水をかき、仰向けになって水面に浮かぶ。じりじりと顔の皮膚を焼く太陽。彼女の手が伸びてくるので握り返す。水の中、手を握り合って笑う。